Feel度 Walkとは

幼児も小学生も中高生も大学生も大人も関係なく、なんとなく気になるものを追いかけて、あてもなく歩く。身近なところにあるちょっとした何かを発見して歩くのは大人も子どもも本当に楽しいものです。こうしてみつかったちょっとしたモノ・コト・ヒトを集めてゆくだけで発見の感度=Feel度が上がります。だからFeel度Walkです。

これは探究学習の先駆けとなった東京コミュニティスクールの元校長である市川力さんをはじめとする探究学習の先駆者たちがたどり着いた新しい形の学びです。

主体的に学ぶための習慣~気づきの感度を高める

2013年より、テディスというレゴ・ロボット・プログラミングの教室を運営し、たくさんの子どもたちと出会い、一緒にロボット製作を楽しんでいます。

子どもたちの中には、主体的に学び、こちらが驚くほど、どんどん吸収していく子どもがいます。こうした子どもに共通していること、それは知的好奇心が旺盛で「面白がり」だということ。うまくいかないことも含めて、時には周囲を巻き込んで、目の前にあることを心から面白がれるのです。

でも、「面白がれる」ようになるにはどうすればよいのか。。。そんな時に出会ったのが、何となく・あてもなく・気になるものを追い求めて歩くという「Feel度Walk」という活動でした。

てくテクについて面白がること 2013年より、千葉市にてテディスというレゴ・ロボット・プログラミングの教室を運営し、たくさんの子どもたちと出会い、一緒...

なんとなく、あてもなくって・・・大丈夫?

何かを学ぶ(習得する)とはどういうことなのか?ということを知りたいという思いから、自分の体験を振り返ったり、勉強会に参加したり、書籍を頼ったり、様々な方法で学んだりしてきました。答えのない問いですが、学べば学ぶほど、Feel度Walkの背景にあるコンセプトの素晴らしさに気づかされます。

Feel度Walkのキーワードでもある「なんとなく」、「あてもなく」歩き、気になったものを写真に収める、本当にそれだけ?そんなことしてどんな意味があるの?と思うかもしれません。また、自分の「気になるもの」と言われても何をしていいのか困ってしまい、スタート地点をうろうろとしてしまったり、気になったものを撮影するためのカメラで動画を撮るだけだったり、最初は何をしたらよいかも分からないかもしれません。

しかし、最初は戸惑っていた子どもたちは、次第にそれぞれ気になった方向へ動き出し、いつの間にか次々と気になることを写真に収めていきます。終盤には、お互いに気なったものを見せ合ったり、実際にその場所に行ってみたりと、いつの間にかコミュニケーションも活発になってきます。そして、歩くのを終えた後、撮ってきた写真の中から一枚を選んでみんなでシェアしたり、絵に描いたりします。絵を描くときに写真を拡大したりと、絵で表現する過程で新たな気づきが起こることもあり、本当に何が起こるか分かりません。

この不思議な感覚を言葉で伝えるのはとても難しいので、是非一度一緒に体験しましょう!きっと気になった何かを、「これ見て!こんなものあたんだけど。」と誰かとシェアしたくなることでしょう

Feel度 Walkの良さ

Feel度 Walkの良さを整理すると、以下のようになると思います。

  • 大人も子どももとにかく楽しい!
  • 楽しみながら、好奇心・探究心の源であるちょっとしたことに気づく感度を高めることができる
  • 特別なスキルが不要(写真を撮るだけ)で優劣がつかない!(凄いものでなくていい)
  • なんとなく、あてもなく、だから正解を追う必要がない!(アウトプットのプレッシャーから解放)
  • 将来何とつながっていくかは誰にも予想できませんが、実体験を伴う学びの源を増やすきっかけとなる

大人も子供も楽しい

こればかりは是非体験してみてください、としか言えません。
先日も大人たちでFeel度Walkの勉強会を行った際には、普通であれば10分程度の道のりが1時間以上かかってしまいました。それだけ足を止めてしまう多くの気になったものが身近にあったということです。一人が面白いものを見つける、他の人が見つけた面白いものを一緒に面白がる、自分の発見が他の誰かの発見と連鎖していく、これもまた楽しみの一つです。

好奇心・探究心の源~ちょっとしたことに気づき面白がる

実は、好奇心や探究心の源は、身の回りにあるちょっとしたことに気づき、それを面白がることなのです。情報化・デジタル化と何かと便利ですが、情報過多で大人も子供も多忙な社会です。そんな時代だからこそ、あてもなく、何となく気になるものを追いかけるという個々の興味・関心による実体験を伴った学びは、より一層重要なのではないでしょうか。

実際、言語の習得では、「人間は記号が身体あるいは経験と接地できていないと学習できない」と言われています。幼児・子供の時期に多くの体験をすることは、すぐに効果は表れないかもしれませんが、その後の学習に必ず生きてきます。以下、寺田寅彦著『科学に志す人へ』からの引用です。

とにかく興味の向くことなら何でも構わず貪るように意地汚なくかじり散らした。それが後年なんの役に立つかということは考えなかったのであるが、そういう一見雑多な知識が実に不思議なほどみんな後年の役に立った。それは動物や人間がちょうど自分のからだに必要な栄養品やビタミンを無意識に食いたがるようなものではなかったかという気がするのである。

特別なスキルが必要ない

スキルが必要なものだと、こんな風にしたいけど実現できない、ということや出来上がりに優劣がどうしてもついてしまいます。しかし、気になったものを写真にとるだけのFeel度Walkでは優劣は存在しません。また、いわゆる「すごいもの」でなければ・・・というプレッシャーからも解放されます。

身近にある気になるものを発見していく活動は、知らず知らずのうちに子どもたちを「すごいもの」からのプレッシャーから解放し、探究の原点である好奇心をよみがえらせてくれるものだと考えています。これは教師も講師も同じで、時間内にある一定のレベルのアウトプットを子どもたちに求める必要がなく、子どもだけでなく、教師・講師も「すごいもの」というプレッシャーから解放され、一緒に楽しむことができるのです。

正解を追う必要がない

子どもたちは無意識の内に、いわゆる「正確」に向かおうとします。しかし、「あてもなく」、「なんとなく」のFeel度 Walkでは、正解がありません(見えません)。ですので、本当に自分の気持ちに正直に気になるものを追いかけることができます。そして、それをみんなでシェアして楽しむことで、自分に自信がつき、積極的になっていきます。