学び

ティンカリングをはじめよう~学ぶことを学ぶ

この記事の内容
  • ティンカリングとは、試行錯誤を通じて問題を解決し、アイデアを実現するプロセス
  • 変化の激しい現代、主体的に学び続けることが重要
  • そのために、「面白がる」マインドで、諦めずに「やり抜く」姿勢を身につけておきたい
  • 子どもが学ぶことを学ぶには、モノづくりにおけるティンカリングは最適である

ティンカリングとは

「ティンカリング(tinkering)」は、元々はDIY(Do It Yourself)文化で使われる言葉で、何かを改造したり、作り上げたりすることに楽しみを見出す人々の間で使われ、手を使って何かを修理・改良することを指します。

教育においても、「ティンカリング」という考え方や活動は重要な役割を果たしています。例えば、STEM学習においては。子どもたちが手を動かして問題を解決したり、実験を行ったりする過程で、失敗を経験したり、試行錯誤を繰り返すことにより、自己学習や創造的思考力を育むことができます。モノづくりは、手を使って試行錯誤しながら自分のアイデアを形にしていく楽しい活動であり、正にティンカリングと言えます。

主体的に学び続けることの大切さ

現代社会は、新しいテクノロジーや情報の急速な発展等により、非常に変動が激しい時代です。知識や情報は常にアップデートが必要であり、主体的に学び続けることが非常に重要となっています。子どもの学びをサポートし、主体的に学ぶ姿勢を育むことで、将来の可能性を広げることができます。

ここで注意すべきことは、 「知っている:と「できる」は全く異なるということです。「できる」ためには、「知っている」だけでは不十分であり、知識と実践を結びつけることが必要です。例えば、車の運転をするためには、運転のルールや基本的な知識を知っているだけでは不十分で、実際に運転して経験を積むことが必要です。知識を身につけることは大切ですが、それだけでは実践的なスキルを身につけたことにはなりません。

「面白がる」マインドと「やり抜く」姿勢

では、主体的に学び続けるためにはどうすればよいのでしょうか。「主体的」と「継続(やり抜く)」の2つの観点から考えてみたいと思います。

主体的になる

「てくテクについて」で書きましたが、「主体的に学び、こちらが驚くほど、どんどん吸収していく子ども」に共通していることは、知的好奇心が旺盛で「面白がり」(うまくいかないことも含めて、時には周囲を巻き込んで、目の前にあることを心から面白がれる)だということです。

てくテクについて面白がること 2013年より、千葉市にてテディスというレゴ・ロボット・プログラミングの教室を運営し、たくさんの子どもたちと出会い、一緒...

この「面白がる」というのが、万尾における主体性ではないかと思います。やらされ感はなく、気になり広がった部分もどんどん吸収し、自分の知識が断片ではなく、自身の体験と結びつき、自分自身の実践的な知識・スキルとなっていきます。

継続(やり抜く)

「継続は力なり」という言葉があるように、諦めずにやり抜くことはとても重要なことです。やり抜くことで、自己満足感や自信を得て、「やればできる」というマインドが育ち、自らどんどん新しいことにチャレンジし、学び成長していきます。

このやり抜いた達成感はある意味、中毒のようなもので、以後なかなか思ったようにいかないつらく苦しい状況下で、諦めずに続けるモチベーションとなり、好循環をもたらし続けます。うまくいかない状況がいつまで続くのか、明日突然解決するかもしれませんし、まだまだ続くのかは誰にも分かりません。この「やった~!」という達成感は、やり抜いた人にしか味わうことのできないものであり、その後の取り組み方の大きな影響を与えるのです。こうした達成感を幼少期に経験していることはとても大切なことでしょう。

ティンカリングは最適な学び

モノづくりは試行錯誤の連続です。挫折や失敗を恐れず、その中から学びを見つけ出すことも大切です。失敗から多くのこと学ぶことができます。また、モノづくりは、ただ単に手を使って何かを作るだけではなく、自分のアイデアや考えを形にすることです。自分が主体的に考え行動することで、より深い学びや成果を得ることができ、面白がり主体的に取り組むことで、自分のアイデアに自信を持ち、自分自身の成長も実感することができます。チャレンジしながらモノを作ることは、新たな発見や成長を感じることができ、学ぶ姿勢や主体性を育むための良い手段なのです

成果を意識せず、モノづくりにおけるティンカリングを単純に面白がり、試行錯誤を通して何か学んでいるという意識なしに、気がついたら学んでいた(身についていた) というのが理想的な学びの姿ではないかと思います。